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2008-01-27

星野道夫

一生をアラスカの自然撮影に捧げる



氏とアラスカとの関わりは、一枚のエスキモーの村の空撮写真から始まる。



「何も無い地の果てのようなところにも人間が生活していることが不思議だった。
 そういう場所に人が生きていることが信じられなかった。」

そう思ううちに、この村に行ってみたいと思うようになった。

写真にある情報はアラスカ「シシュマレフ」という村名だけ。
ところがどうやって行ったらいいのかわからない。
知り合いもいない。
でも思いは日々募っていく。

そして氏はアラスカの村七ヶ所に手紙を送る。
「あなたの村を訪ねたいと思っているのですが、誰も知りません。
 仕事は何でもしますので、どこかの家においてもらえないでしょうか。」

ほとんどは宛先不明のまま戻ってくる。


そして手紙のことを忘れかけた半年後、一通の手紙が届けられる。
「世話をしてあげるから今度来なさい」と。

「僕はもう、うれしくてたまらなかった。」

そして大学一年、アラスカの地へ赴く。
エスキモーの家族とひと夏を過ごした。



「自分で想像できる大きな自然を遥かに超越したもっと大きな自然をこの目で見た。」

それから帰国して学生生活に戻るも、アラスカの事が頭から離れない。
大学3、4年になると、同級生は就職活動で忙しくしていたが、
それとは別に星野氏の気持ちはぜんぜん違うところにあって、そういうことが考えられなかった。

そして友人の死を転機に、再びアラスカに戻ることを決意する。





氏の撮る写真は、動物単体でも風景単体でもなく、自然そのもの。

被写体は多岐に渡る。
氷河が崩れ落ちるグレイシャーベイ、オーロラ、クジラ、シロクマ、カリブー、
そして季節のダイナミックな変化と刹那の機微。

アラスカという厳しい極寒の地で撮る星野氏の写真は、それとは対極的に優しさが伝わってくる。
風景の一つに溶け込んでいる。
写真から伝わる優しさは、同時に星野氏の優しさでもあります。



「考えてみれば当たり前のことなんですが、自分が東京で暮らしているのと全く同じ時間に
 熊が呼吸して生きているということがすごく新鮮というか不思議だったんです。」

「一年を経て、同じ親子熊に再び会う。
 彼らが過ごした一年と、自分が過ごしたこの一年が重なった。
 長い冬の日々、ストーブの日を起こし、本を読み、スキーで森を歩き、
 またオーロラを見上げていたそのとき、
 どこかの塒(ねぐら)で、この三頭の熊はひっそりと同じ冬を越していた。
 当たり前のことなのに、初めて気づいたような思いがした。
 すべてのものに平等に、同じときが流れている。」


すべては繋がっている。
そう伝わってくる味わい深い至言です。




1996年8月8日
取材先のカムチャツカ半島にてテントで就寝中、ヒグマに襲われ急逝



氏が思い描いたように、私も思いを馳せます。


まだ見ぬ地へ・・・
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自己紹介

アリ

Author:アリ
都内にて建設業に携わる。
建築巡礼からいつしか風景へと・・・
経費削減の為、自転車で移動

カメラ:canon EOS40D
チャリ:KHS F20-RAC

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ブログ創設:07/11/09

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